五十肩を乗り越えて——再びグリーンに立つまでの物語

 

「ゴルフなんて、もう一生無理かもしれない…」そう感じていた五十肩の痛み。けれど、“また芝の上に立っている自分”を思い描いた日から、物語は動き出しました。56歳・営業マンのリアルな回復ストーリーが、あなたの背中をそっと押してくれるかもしれません。

 

 

いつか、じゃない。今度こそ“行く”と決めたゴルフ場

 

「こんな日が、また来るとは思ってなかったんですよ」

 

そう言って照れくさそうに笑ったのは、営業職として全国を飛び回っていた松井さん(仮名・56歳)。スーツの似合う、快活な印象の方です。

 

 

初めてもとまち整体院を訪れたのは、昨年の秋口でした。肩が上がらなくなってから半年。

いわゆる“五十肩”と診断され、整形外科や整骨院に通ったものの、改善の兆しは乏しく、「このまま一生、クラブを握れないかもしれない」と落ち込む日々だったそうです。

 

 

実は松井さん、大のゴルフ好き。

月に2~3回はコースに出ていたほどで、会社の仲間とも、取引先とも、そして息子さんともラウンドを楽しんでいました。

 

「ゴルフのない生活なんて考えられなかったんです」

 

 

けれど、肩の痛みは生活にも支障をきたすようになり、寝返りを打つたびに目が覚め、ワイシャツの袖にも手を通せない。

ベルトを通すのが大変になり、つり革に手を伸ばすのもひと苦労。

シャンプーで後頭部を洗おうとすると痛みで手が止まり、ふすまを開けるような横方向の動作にも違和感が出ていました。

 

日常の何気ない所作がこんなにも難しくなるとは——と、松井さんは肩を落としたと言います。

 

次第に外出も億劫になり、大好きな趣味も人付き合いも、徐々に遠ざかっていきました。

 

 


施術と一緒に“思い描いてもらったこと”

初回のカウンセリングでは、肩の可動域を確認しながら、普段の生活や痛みの経緯を丁寧にうかがいました。

 

トリガーポイント施術のあとは、ひとつご提案をしました。

 

 

「もしよければ、“またゴルフコースに立っている自分”を想像してみてください。芝生の匂いや、打球音、朝の光、クラブを振った感触……できるだけリアルに」

 

 

脳はイメージに反応する器官です。

トップアスリートが取り入れる“脳の先取り体験”は、モチベーションや神経伝達にもよい影響を与えることが分かっています。

 

「想像するだけでワクワクしますね」と松井さん。

 

その日から、彼は毎晩、クラブハウスで朝食を食べている自分、ティーグラウンドに立って風を感じている自分を、ベッドの中でイメージするようにしたそうです。

 

 


回復のきっかけは、“動けた日の小さな喜び”

通院開始から2週間ほど経ったある日。

 

「先生、昨日ひさしぶりに車の後部座席の荷物を取れたんです」

 

施術のたびに肩関節周辺の筋肉・筋膜のトリガーポイントを丁寧にほぐし、動きやすくなった関節に対して、日常の中でできる軽い運動も併せて提案しました。

 

 

 

そのなかで、もとまち整体院で松井さんにお伝えしたセルフケアのひとつが、「コドマン体操」でした。

 

これは、腕を力まずに下に垂らし、体を前傾させて腕を自然に“振り子”のように前後左右に動かす運動で、肩関節に無理な負担をかけずに可動域を回復させていくリハビリ法です。

 

 

「最初は正直、これで効くのかな?って思いましたけど、だんだん肩のこわばりがほぐれるのが分かってきました」

 

松井さんは、出張先のホテルの部屋でも、朝の着替え前や夜の入浴後など、時間を見つけてはコツコツとコドマン体操を続けてくださいました。

 

 

松井さんは平日は出張も多く、通院のタイミングもまばらでしたが、そのぶん、自主的なセルフケアを習慣にされていました。

 

痛みの出方に応じて調整を行いながら、1ヶ月、2ヶ月と時間を重ねるごとに、肩は少しずつスムーズに動くように。

 

3ヶ月を過ぎたころには、ゴルフクラブをゆっくりと素振りできるようになっていました。

 

 


久々のラウンドで、思わず…

「やっと回ってこれましたよ!」

 

そう言って、スコアカードを見せてくれた松井さんの顔は、少年のように晴れやかでした。

 

回ったのは、関西でよく行っていた馴染みのゴルフ場。

朝のスタートホールでクラブを握ったとき、「本当にここに戻ってきたんだ」と実感がこみ上げたと話します。

スタートのティーショットでは少し緊張もあったそうですが、空を切る風の感触や芝の匂いが、昔の記憶をどんどん呼び起こしてくれたといいます。

 

 

スコアはいつもより多めに叩いたそうですが、「ボールが飛んでくれるだけでうれしかった。力まずに打てるようになっただけでも感動でした」と、目を細めながら話してくれました。

 

帰宅後は久々にクラブの手入れをしながら、次に行きたいコースの話を家族とするのが、今のちょっとした楽しみなのだそうです。

 

 

その日以降、再び月イチでラウンドに出かけるようになり、以前のように同僚や友人とのゴルフ談義も増えてきたと嬉しそうに話してくださいました。

 

 

 

 

 


未来を描くことは、ただの夢ではない

「なんだか最近、気持ちが明るくなったねって家族に言われるんです」

 

以前よりも姿勢が良くなり、動作も軽く、表情にも自信が戻ってきた松井さん。

 

話す言葉にも張りが出て、以前はため息まじりだった日常の話題も、今では笑いが交じるようになりました。

 

 

「ふと鏡を見ると、なんだか若返った気がして」と、冗談めかして話す姿にも、以前にはなかった余裕が感じられます。

 

 

五十肩の回復を通して得られたのは、肩の可動域だけではありませんでした。

体の回復が、心にもポジティブな影響をもたらしていたのです。

 

 

「まだまだやれること、行ける場所があるんだって思えるようになった。次は北海道のゴルフ場にも行ってみたいな」

 

そう言って笑う姿は、以前の“痛みで閉じていた日々”をまったく感じさせませんでした。

 

 


“今ここ”にある喜びが、未来をつくる

イメージはただの空想ではなく、心と体を動かす力を持っています。

 

たとえ今は思うように動けなくても、頭の中で“動けている自分”を何度も描くことで、神経や筋肉の働きがそれに近づいていくというのは、実際のリハビリ現場でも知られている事実です。

 

 

「行けたらいいな」ではなく、「もうすでに行って楽しんでいる自分になりきる」。

このちょっとした“なりきりイメージ”が、脳にとっては現実とあまり区別がつかないため、思っている以上に私たちの行動や判断に影響を与えることがあります。

 

 

たとえば「ゴルフ場で風を受けている自分」「クラブをスッと振り抜いている自分」を細部まで想像してみるだけで、気分が変わる。

そしてその気分の変化が「今日も少し動かしてみようかな」といった小さな行動へとつながっていくのです。

 

 

五十肩の痛みがある今この瞬間でも、“自由に動けている自分”を思い描くことで、体の中の回路が少しずつ変わり始める。

 

それは、夢を叶える準備運動なのかもしれません。

 

 

今日も、グリーンの風を思い描きながら、誰かがクラブを握る準備を始めているかもしれません。

そしてその一歩が、思いもよらない未来への扉を、そっと開いてくれるのかもしれません。

 

 

※施術効果には個人差があります。

※画像はイメージです。